食道癌と自然体で向き合う [Living Naturally with Esophageal Cancer]

人生は不公平極まりないが、すべての命は例外なく尽きる。そんな当たり前のことでさえ、我がこととは無縁と生きてきた。生を受けてからすでに半世紀を超え、着実に死に向かっていることに意識を向けることもないまま、告げられた宣告。ここに綴った文章がどこかの誰かに役立てば幸いです。

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癌に罹患して困惑している人たちにひとつ言いたいことがある。

近年芸能人たちが罹患してメディアでも大きく取り上げられ、テレビの情報番組でも医療系が一気に増えた。そのなかで多く語られることが『定期検診』。

一年一回の検診を受けて下さい」と言う医者に「一年一回の検診を受けていたのに」と嘆く患者。

ずばり言っておく。検診で初期の癌を発見された人はただ幸運であったというだけの話である。

陽子線によって肉眼ではきれいになった私の食道には癌細胞が残っていた。毎月一度の検診を続けたが、一年を待たずに再発。その数ヶ月前から違和感を医者に訴え続けたが、現代医療技術を駆使した検査でも彼には何も見えなかった。

再発がわかったとき、癌は最初に見つかったときと同じステージ2の大きさになっていた。つまり、ひと月の間にあっという間に成長したということになる。じわじわと大きくなる癌なら初期で発見されやすいが、爆発的に成長するケースも多い。

絶対に初期で発見したいのなら検診は週1でやるべき。私にそれができたら食道の全摘手術を受けずに済んだ今を過ごしていただろうが、それを実行し続けるのは難しい。

ふたりにひとりが癌を罹患する時代。嘆いていてもしかたない。覚悟を決めて自分にあるオプションのなかから後悔の一番少ないものを選択するしかない。

癌じゃなくても命はいつか尽きる。誤った選択によって低レベルのQOL残された時間を過ごすことのないよう、これを読んでいる貴方に伝えたい。