食道癌と自然体で向き合う [Living Naturally with Esophageal Cancer]

人生は不公平極まりないが、すべての命は例外なく尽きる。そんな当たり前のことでさえ、我がこととは無縁と生きてきた。生を受けてからすでに半世紀を超え、着実に死に向かっていることに意識を向けることもないまま、告げられた宣告。ここに綴った文章がどこかの誰かに役立てば幸いです。

2014-01-01から1年間の記事一覧

今年最後の診察

今日は血液検査だけ。月曜の午後、普段の半分以下の患者数に少々驚く。そのおかげでいつもは5、60人ほど待たされるのがわずか10人で順番が回って来た。 おそらくいままで一番手慣れたおばさんがさっさと採血をしてくれる。 「かぶれたりしないですか」 …

胸部不快感

陽子線治療を終えて半年が過ぎ、二度目のCTスキャン。 主治医はまったく問題なしと言う。それはいいことなのだが、胸部の不快感はずっと続いていて症状を伝えるが、他の患者にそんなことを言う者はいないという。 不思議だ。ネットをみると同じことを訴えて…

治療後半年を迎えて

先月の定期検診に特記すべきことはなかった。有給をとった妻といっしょに出かけ、問診を受け、いつもの胃薬と睡眠薬の処方箋をもらい、近くの薬局でひと月分の薬をもらい、映画『ルーシー』を鑑賞し、食事して帰宅。 今月はひとりで出かけ、50人待ちで採血…

体重減少

先日、TVでサイバーナイフが紹介されていた。実は、陽子線と決める前、セカンドオピニオンも必要と思い、神戸にある施設に話を聞きに行った。現れた医者は専門医でもなく、こちらの質問でわからないことはいちいち携帯で訊く始末。まったくの無駄足だったこ…

経過観察

四月末日に陽子線治療を終え、五月の連休明けに医大で主治医と会った。当初の予定では、再度抗癌剤投与で入院のはずであったので、断るつもり満々でいたら、K医師はそれにはまったく触れず、CTやりましょうかと。 癌そのものが消滅しているので(肉眼的に)…

陽子線治療を終えて

ひと月近い兵庫県の山奥での治療生活を終え、大阪の住宅地に戻って来てはや一週間が過ぎた。 「食道癌は15回」という照射回数について、当初は、個人差や癌の進行度合いなど色々と吟味する必要があるだろうに、ずいぶんと適当なと思っていたが、私の場合、…

陽子線治療11回目

陽子線治療11回目。 治療室に最初に入ったときには、「ちびまる子ちゃん」など歌謡曲がかかっていたのだが、9回目のときに突然ジャズになり、昨日からクラシックが流れている。 いつものように数人(ふたりから六人)の技師に導かれて治療台にうつ伏せにな…

副作用3、陽子線治療

抗がん剤投与、放射線照射、抗がん剤投与と受けた後、様々な副作用に見舞われた。 一回目の抗がん剤後に悩まされた排尿障害は、今回は回避されたが、尿道が痛んでいることは放尿のたびにヒリヒリすることでわかる。一回目の後のように破れて出血に至らないよ…

副作用2、内視鏡、ラウンド2

毎日病院に通って放射線を数分浴びることを続けて三週目ほどから空咳が出て来た。新たな副作用である。喉の奥がいがらっぽく、痛痒い感じが続き、睡眠にも影響が出て来たので医者に告げた。 「気管支もやけどしてますからね、普通です」 食道にある癌に放射…

入院と副作用

たかが二週間の入院と侮っていたことは認めざる得ない。しかしながら、そのほとんどが線で繋がれた状態で、点滴バッグをぶら下げたスタンドを引き摺っての移動は可能なものの、自由度は極度に堕ちる。 最初の抗がん剤治療を終え、通院に切り替えて待っていた…

放射線治療

第一弾の抗がん剤投与が終ると二日かけて腎臓を点滴で洗浄。一日12回の小便は人生最多記録達成である(しかもいちいちが大量!)。 そして放射線治療。 前もって胸一面にマーカーがつけられており、ハリウッド映画の人体実験に使いそうなSFぽい部屋のど真ん…

患者の心得

強烈な抗がん剤の投与が終った翌日。特に変わったことはないが、一番しんどいのが今日だと言う。 癌患者になってみて最初に気づいたことは、私はそれほど私が嫌いではなかったことだ。生き急ぐような青春を過ごし、やりたいことだけやって、30半ばで夭折する…

抗がん剤投与

手術を選択しない食道癌患者を待っているのは、抗がん剤と放射線である。 抗がん剤による治療とは、患部と対峙する放射線に反し、広範囲の効果を期待するもので、太い血管である中心静脈まで挿入したカテーテルを介して薬剤を投与するのが主流のようだ。 私…

医者の選択

2014年2月14 日金曜日午前10時半。St. Valentine's Dayに最初の入院というのは憶えやすいと想っていたら、日本列島は寒波に襲われ、大阪も近年にない積雪に見舞われた。病室に生活用具をセットし終えると、放射線医で森本レオ似の担当医が現れ、最初の抗がん…

発覚

2012年11月、母が亡くなった直後、ひどい風邪をひいた。 寒いし、ストレスあるし、そのせいだ。喉の調子も悪いが、風邪だから。ただ咀嚼感にちょっとした違和感があったのを記憶している。喉が荒れているのだろう。飲み物をゆっくりと呑み下して洗うような癖…