食道癌と自然体で向き合う [Living Naturally with Esophageal Cancer]

人生は不公平極まりないが、すべての命は例外なく尽きる。そんな当たり前のことでさえ、我がこととは無縁と生きてきた。生を受けてからすでに半世紀を超え、着実に死に向かっていることに意識を向けることもないまま、告げられた宣告。ここに綴った文章がどこかの誰かに役立てば幸いです。

術後三年まで後ひと月

桜はすっかり散って、春めいた曇り空の下、先日の検査結果を聞きに京都へ。主治医が緊急手術ということで、入院時に優しい言葉をかけて下さった、ワイフお気に入りのH先生と再会した。

「検査結果を見ただけでよくコントロールされていることがわかりますよ」

合格点をいただき、来月で術後3年となるということで、次回からは半年ごとの検査。夏を飛ばして次の京都は秋を迎える。

寄り道コースとなった丸太町通りから河原町通りを散策。次回はこの海鮮丼かなとか言いながら、本日の目的地を目指す。

島津製作所跡のフォーチュン・カフェ。テーブル席に導かれると、若い頃に訪れたレストランを想い出した。

薄暗く洒落たインテリアが施された空間にジャズヴォーカルのBGMが流れている。竹林の中庭の傍には、年配の白人の団体が団欒中。まるであの時代のニューヨークにタイムトリップしたよう。ただウェーターが大声で”Yes”と連呼していたのには笑ってしまった。

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ハンバーグ、鰆と春キャベツのポワレのランチをワイフとシェア。味もまたそれなりにニューヨークだった。

CT検査が年4回から2回へと軽減されることが素直に嬉しい。日本のCT普及率は世界一だが、アメリカではCTを連続して受けると癌罹患率は10%以上高まると敬遠されている。

しかも日本の医師や検査員の才量は紛れが多く、初期の癌細胞を発見できないのは、現実に経験済だ。数年もすれば、代替の検査法が台頭してこようが、高額な機器の投資回収からすんなりと移行するのが厳しいことは容易に想像できる。

唯一常用している薬、逆流性食道炎を防ぐPPIも鉄欠乏性貧血や認知症の副作用がある。しかし、一年前から普通の半分の量にしているので、こちらは必要最低限。

ダンピングとは、今後一生付き合っていかねばならないが、同じ手術を受けた方々と比べると軽度なほうなので、諦念するしかない。

免疫力を高く保とうとしたら、むしろ頑張りすぎないで気楽に構えていたほうがいいとも言われている。人間は誰でもいずれ死ぬ。たとえ再発することがあったとしても後悔しない日々を送ることに努めていきたい。