食道癌と自然体で向き合う [Living Naturally with Esophageal Cancer]

人生は不公平極まりないが、すべての命は例外なく尽きる。そんな当たり前のことでさえ、我がこととは無縁と生きてきた。生を受けてからすでに半世紀を超え、着実に死に向かっていることに意識を向けることもないまま、告げられた宣告。ここに綴った文章がどこかの誰かに役立てば幸いです。

副作用2、内視鏡、ラウンド2

毎日病院に通って放射線を数分浴びることを続けて三週目ほどから空咳が出て来た。新たな副作用である。喉の奥がいがらっぽく、痛痒い感じが続き、睡眠にも影響が出て来たので医者に告げた。

「気管支もやけどしてますからね、普通です」

食道にある癌に放射線を照射しているのだが、その性質上、周りにも影響を与えるのは承知していた。要するにこの治療は、弱るのが癌が先か自分が先かでしかない。

やっと放射線治療が終っても咳は簡単には直らない。

ここで内視鏡で癌の様子を見ることになる。前回、苦しくて失神しそうになり、一時間ほども動けなくなった検査である。案の定、今回も同様に貧血を起こしてしまう。この検査だけは勘弁願いたいとつくづく思う。(医者はいい感じで小さくなっていますと写真をみせるが)

その二日後、陽子線センターでも二回目の内視鏡検査を受けたが、こちらは前回同様大したダメージなし。要は、オペレイターの上手い下手か。

陽子線センターでは二日に及ぶ検査と型取りでホテルに泊まるなどして時間を費やしたが、帰宅するやいなや、今度は抗がん剤治療のラウンド2である。

いま、書いている時点で、四日目の朝。今度は下痢が続いている。後半分でこの治療が終ると、翌日には兵庫の山奥で陽子線治療が始まる。