食道癌と自然体で向き合う [Living Naturally with Esophageal Cancer]

人生は不公平極まりないが、すべての命は例外なく尽きる。そんな当たり前のことでさえ、我がこととは無縁と生きてきた。生を受けてからすでに半世紀を超え、着実に死に向かっていることに意識を向けることもないまま、告げられた宣告。ここに綴った文章がどこかの誰かに役立てば幸いです。

狭窄感

問診と処方箋をもらうだけなので、年が明けて初の診察は久しぶりにひとりで出かけた。

主治医が調子は?といつと同じように訊くので、「狭窄感がきつい」と答えた。

『狭窄感』という言葉は、この病気になって初めて知った。患部は食道で、癌はなくなっているのに、胸全体に詰まったような不快感がある。陽子線治療を終えて副作用のピークといわれた半年が過ぎたが、昨年暮れ頃から、それはずっと続いている。

放射線と陽子線を浴びせた副作用であることは明白で、いったいいつまで続くのだろうか。退院後、しばらく何も感じないときもあった。そんな風に気がついたら消え失せてしまっていたということもあるのだろうか。それともあったりなかったりが一生続くのだろうか。

体重は63からなかなか増えない。テニスの錦織クンが一日7食とり、そのうち3食はゼリー飲料であることを知り、あれでも1食ならできると、病院帰りにダイコクで一番カロリーの高いやつを大量買いしているが、一日一回以上摂取する気にはなれない。しっかりした食事は相変わらず一食だけで、もう一回も軽食だから、三食しっかり食べているとはとても言えないのだから仕方がない。

後は、運動を含め、一時間経ったら何か理由をつけて席を立つ習慣を身につけるなど、身体のケアに努めるしかない、出来る限り。