食道癌と自然体で向き合う [Living Naturally with Esophageal Cancer]

人生は不公平極まりないが、すべての命は例外なく尽きる。そんな当たり前のことでさえ、我がこととは無縁と生きてきた。生を受けてからすでに半世紀を超え、着実に死に向かっていることに意識を向けることもないまま、告げられた宣告。ここに綴った文章がどこかの誰かに役立てば幸いです。

退院

しばらくほうっておいたら訪問者が8000近くになっている。それだけ情報を求めている人たちがいることを想い、続きを書く。

7月26日。退院した。医者が「ひげ」と呼ぶ、裂け目が消えたからだ。後は、ノルマの栄養剤を入れ続けるだけの日々が続くだけなので即刻退院した。

その前にひとつ。手術を考えている人に言っておきたいことがある。

縫合不全が出たら解決策は栄養剤をどんどん入れて自力でくっつけるしか方策はない。なかには受け入れてすっと直る人もいるだろうが私は違った。栄養剤を腸が受けなかった。寝ている時間以外、一日中は吐き続けることが数日間。一度、治まったが、おかゆを食したら,再発した。最後の最後には生も根も尽き果てていた。

「敏感なんでしょう」

医者はその理由にそう答えた。つまり、胃腸が人よりも敏感なら私と同じ目に合う可能性がある。個人的に理由は内蔵のストレスと捉えている。あったものがなくなり、あるべき場所から無理やり移動させられた。そのストレスがあの猛烈な吐き気の原因だと。