食道癌と自然体で向き合う [Living Naturally with Esophageal Cancer]

人生は不公平極まりないが、すべての命は例外なく尽きる。そんな当たり前のことでさえ、我がこととは無縁と生きてきた。生を受けてからすでに半世紀を超え、着実に死に向かっていることに意識を向けることもないまま、告げられた宣告。ここに綴った文章がどこかの誰かに役立てば幸いです。

退院後

自宅に戻ってもやることは同じ3回の栄養剤を何時間もかけて腸ようから吸収する。

しかし、これがなかなか思い通りにならない。簡易器具でやるために、ときに気がつくとあっという間に終っていたりして、そのたびに強烈に下痢に見舞われる。

私の場合、エレンタールを主体にエンシュアをサブ的に二種類を使い分けている。

8月10日に採血の検査に行き、医者からは順調だと言われた。次回、内視鏡検査で問題なければ、軽い食事の許可が出るはずだ。

なのだが、実際はもうすでに妻の食事を摘んでいる。三ヶ月ぶりに舌でモノの味を感じたときは食事が人間にとって喜びであることを再認識した。

その他にも問題は多々ある。

苦い胆汁が突然上がって来て目覚める。上半身を高めにして眠っているのだが、上がってくるときには容赦はない。一度だけだが、ものすごい黄色い液体を大量に十分ほど吐き続けたことがあった。

後、喉の狭さを常に意識しておくことは難しいが心がけるしかない。これも一度だけだが、水を飲んだら気管に入って猛烈にむせたことがあった。嚥下障害があることは一生意識しておくべきだ。