食道癌と自然体で向き合う [Living Naturally with Esophageal Cancer]

人生は不公平極まりないが、すべての命は例外なく尽きる。そんな当たり前のことでさえ、我がこととは無縁と生きてきた。生を受けてからすでに半世紀を超え、着実に死に向かっていることに意識を向けることもないまま、告げられた宣告。ここに綴った文章がどこかの誰かに役立てば幸いです。

耳管開放症

先日検査結果を聞きに主治医のもとへ訪れたときのこと。

血液検査は概ね良好、CTも問題なし。そこでひとつ気になっていた質問をした。外出すると頻繁に耳詰まりするようになり、一向に改善の兆しがないことだ。

「手術は無関係だから気になるのなら耳鼻科へ」と言われたが、手術前にはなかったことなので、関係ないはずがない。

帰宅後、検索してみると、案の定、やっぱりあった。

逆流性食道炎の症状のひとつに耳の違和感があります。これは胃酸の逆流によって食道が刺激され、口に渡った刺激が耳にも影響を与えているのです。胃の違和感と耳の違和感が同時にある場合は、逆食を疑いましょう。悪化すると、耳の違和感だけではなく、耳鳴りを訴える人もいます』

『周りの声が、聞こえにくくなったり、自分の声が頭に全部響く』

これがまさに私の症状。

『自分でできることとしては、血行改善があります。なぜなら、血流の悪さによって耳管があけっぱなしになるからです。耳のまわりにある血液の流れが良くなると、自然と閉じやすくなります。また、水分補給やリラックスも症状が和らぐ方法です』

外出時には必ずペットボトルを持参しているが、今後より気をつけてみたい。

『耳詰まりを起こしたとき、1番やってはいけないのが鼻をすすることです。鼻をつまんで息を吸うのもNGになります。なぜなら、巨大な耳垢(あか)が発生する・耳に刺激を与えてしまうなどのトラブルが起きるからです。耳詰まりを何とかしようとむやみに触ってしまっては、さらに症状が悪化する恐れがあります』

これも知らなかった。気をつけたい。

『耳管開放症は立った姿勢の状態の時は症状が強くでますが、頭をさげておじぎをするような姿勢になったり、横になると症状が一時的に軽減することがあります。これは耳管の周りには静脈がたくさん集まっており、おじきのように頭を下げたりすることで、そこにある静脈叢(そう)に血液が溜まって耳管が閉じやすくなるのです。逆に立った状態では、血液が下に流れることから、静脈叢に溜まっている血液が少なくなることで、耳管が開きやすくなるのです』

遠出したときになる理由がわかった。おじぎと横になる、試してみよう。

医者は全知ではなく、知っていることだけ知っているという意味では私たちと大差ない。テクノロジーの恩恵を受けることに躊躇いは無用だ。