食道癌と自然体で向き合う [Living Naturally with Esophageal Cancer]

人生は不公平極まりないが、すべての命は例外なく尽きる。そんな当たり前のことでさえ、我がこととは無縁と生きてきた。生を受けてからすでに半世紀を超え、着実に死に向かっていることに意識を向けることもないまま、告げられた宣告。ここに綴った文章がどこかの誰かに役立てば幸いです。

検診結果とFODMAP

地下鉄の階段を上がって横断歩道の前に立つと、北へ連なる並木が黄色くなりはじめていた。秋めいてきて、夕方には雨という予報。薄曇りの肌寒いなか、先日の検査結果を聞きに担当医の部屋に向った。

 

血液、内視鏡、CT、いずれも問題なし。半年後の来年春の予約を入れ、術後5年以降の相談となった。『卒業』、『半年ごとに内視鏡、CTを一回ずつ』あるいは『被曝が嫌なら内視鏡だけ』と提示され、最後のオプションを選択するつもりでいると答えた。

 

月曜の正午過ぎ。巨大大学病院の一階はざっと百人を超す長蛇の列。最後の手続きを終えても一向に呼び出しベルが鳴らない。昔なら30分を過ぎたあたりで苛ついてくるところだが、今はiPhoneがあるのでなんなくやり過ごし、支払いを終えた。

 

検診結果の日は、事前にランチや買い物をチェックしておくのが常なのだが、共に当てが外れて京極まで来てしまった。とりあえず食事をということで、「この店、前に列ができていた」とワイフが言う、新しいパン屋が目の前にあるので入店した。ドトール傘下のコッペパンを出す店で、二階に上がるとレトロ調な広い空間に先客がちらほら。ゆったりと過ごせはしたが、また来たいと思わせる味ではなかった。

 

その夜、過敏性腸症候群について気になる記事を見つけた。生まれつき腸が弱いことは、友人と同じモノを食して自分だけが下痢をする経験から認識していたが、明らかに術後ひどくなっていることから改善策があるのなら試してみたい。通常、腸にいいといわれる食物でも過敏性腸症候群の人には下痢の原因になるという。

 

FODMAPとは、小腸で吸収されにくい4つの発酵性糖質のこと。この糖質が高い食物を多くとると、小腸内のFODMAPの濃度が上がり、それを薄めようと大量の水分が小腸に流れ込んで下痢となる。さらに、吸収されなかったFODMAPは大腸で腸内細菌によって急速かつ過剰に発酵し、腹痛を起こす。つまり、FODMAPの高い食物を避けることによって下痢と腹痛を防ぐことができるのだ。

 

早速、リストをスクショしてメモ・アプリに入れた。まず、リンゴ、豆類、玉ねぎ、烏龍茶など、これまで腸に優しいとされていた食物の先入観を捨てることから始めねばならない。乳酸菌が大切なので、納豆、ヨーグルト、キムチのいずれかひとつは毎日とるようにしてきたが、キムチ以外は控えめにしてみよう。果物では、桃、梨、アボカドも同様。穀物では、うどん、パン、ラーメンの代わりに、米とそばをもっと増やす。豆腐サラダが我が家ではプチブームなのだが、豆腐はワイフの半分にする。蜂蜜とニンニクは、ネットで購入している国産の上物を愛用しているが、これらも押さえ気味に。

 

アレルギーと同様、FODMAPの耐性には個人差がある。牛乳のように一発で下すのであればすぐにわかるが、上記の食物を全て把握して管理するには日数と手間がかかりそうだが、何日も正露丸を飲み続けるのも嫌になってきていた。特に下した直後は、高FODMAPを避けることで効果が期待できそうだ。

 

腸内環境は健康維持のために重要。よりこまめにモニターしようと、ウンログというアプリをダウンロードした。長年使っている睡眠管理アプリ(スリープ・マイスター)の隣に置いて、今後の自己管理に役立てるつもりでいる。